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二大クラウド会計「MFクラウド」「freee」を比較

IT・WEB
2016.12.21
電卓と決算書

かつてはすべて手書きだった会計処理も、今やパソコンで行うのが当たり前。
世に様々な会計ソフトが販売されていますが、皆さんはどのようなソフトをお使いですか。

ひとつの記帳で複数の帳面に入力を行ってくれる会計ソフトは確かに手書きと比べれば十分便利なのですが、記帳忘れがあったり専門的な知識がないと使いこなすことができずイライラしてしまったという経験はありませんか?
特に決算月になると会社の経理担当者がぴりぴりして雰囲気が落ち着かなくなる、なんて話はどこの会社にもよくある話。

そんな中、ミスが少なく手間もかからないクラウド会計が人気です。

そもそもクラウドってどんなもの?

よく聞く「クラウド」という言葉、もうご存知という方も多いでしょうが、その意味から簡単に説明していきましょう。
少し前までわれわれは所有するパソコンや携帯電話個々の端末でデータを管理していましたが、最近ではいろいろな端末からデータを好きな時に閲覧することができるシステムが一般的ですよね。
そうしたシステムのことを「クラウド」や「クラウドサービス」と呼んでいます。

例えば、携帯のキャリアメール(@docomo.ne.jpや@ezweb.ne.jpなど)は固有の端末でしか閲覧することができませんが、クラウドサービスを採用しているフリーメール(@gmail.comや@yahoo.co.jpなど)はパソコンからでも携帯からでもログインさえしてしまえば閲覧することができます

クラウドサービスを使えば複数人で編集も可能

クラウドサービスの優秀なところは、いつでもどこでも閲覧ができるだけではありません。
複数人で一つのデータを同時進行で編集することも可能なのです。
いちいちデータの受け渡しをする必要もありませんし、一度訂正した個所をすべての人に報告する必要もありません。
とにかくクラウドサービスを活用すれば、今まで頻繁に起こっていたうっかりミスわずらわしいホウレンソウの時間がぐっと短くすることができるのです。

クラウド会計とはどんなもの?

では、クラウド会計とはどんなものでしょう?
その名の通り、クラウドサービスを用いて会計を行うというサービスです。
具体的に言うと、
オフィスにあるパソコンからだけでなく外出先でもスマホなどからすぐに会計処理を行うことができる。 複数人で同時に別の会計処理を行うことができる。
など、他のクラウドサービス同様にクラウド会計でもその利点が生かされています。

クラウド会計なら勘定科目も勝手に入力

ただ、クラウド会計が優秀なのはこんなことだけではありません。
銀行やクレジットカードなど、事前に情報を登録しておけば取引明細を自動的に取得してくれ、明細の情報から自動的に勘定科目を登録してくれるのです。
コンピュータが自動で入力を行ってくれるので金額の間違いはありませんし、毎回同じ勘定科目を何度も入力するという手間も省けます。
もちろん、勘定科目はその時々に修正することもできます。

クラウド会計を導入するのにおすすめの会社

最近ではクラウド会計を利用してる人が大変多く、このまま業界のほぼすべてがクラウド会計に移行してしまうと思ってもいいでしょう。
あなたの会社が特に大きな企業、取引の多い法人なのであれば一刻も早くクラウド会計に乗り換えることをおすすめします。
また、専門知識がないフリーランスや経理担当を用意するほどの余裕がない零細企業の方にもおすすめです。

クラウド会計のポイントは、詳しい会計知識がなくても使いこなすことができるという点にもあります。
短時間に、適切な会計処理が、簡単に行える。
とにかく誰にでもおすすめできるというのがクラウド会計の特徴です。

クラウド会計を選ぶなら、MFクラウド会計?freee?

さて、ではいざクラウド会計をはじめよう!というあなた。
どのクラウド会計サービスを利用しますか?

インターネットで検索してみると、様々なクラウド会計がヒットしますが、中でもとびぬけて利用者の多いサービスは「MFクラウド会計」「freee」です。
ではどちらがより会社に合っているでしょうか?
一般的にはちょっとでも簿記がわかるのであれば、今まで簿記ソフトを利用したのであれば「MFクラウド会計」、まったく経験がない、簿記はわからないというのであれば「freee」を選ぶべき、と言われています。

果たしてその噂は本当なのでしょうか?
しっかり比較して確認していきましょう。

機能面で比較する

MFクラウド freee
帳簿作成
決算書作成
レポート出力
アプリ
税理士対応
インポート/エクスポート
自動アップデート
税制改正に対応
外部サービス連携
勘定科目を推測
マイナンバー対応
請求書 MF請求書にて対応

事務処理を一括で行うならfreee

まずは機能面で比較してみると、ほとんど違いはありません
唯一違うのは請求書の作成がMFクラウドでは別サービスを利用しなくてはいけないというところでしょう。
請求書だけでなく見積書や納品書など、freeeでは必要書類を同時に作成することができます
会計という観点から見ると少しずれてしまいますが、すべての事務処理を一括して行えるfreeeに対して、MFクラウド会計は会計に特に特化したサービスだと言えそうです。

複式簿記ができるならMFクラウド

続いて、実際の会計ソフトとしての使いやすさから見てみましょう。
先ほどもご紹介した通り、より従来の簿記ソフトとほぼ同じなのはMFクラウド会計です。
勘定科目なども非常に探しやすく、これまでのやり方を変えなくても使うことができます。
手動で振替伝票の入力するときも、借方・貸方それぞれの勘定科目を各々選択することができ、画面も複式簿記を学んだ時そのものの画面なので実に理解しやすいです。

対して、freeeの振替伝票画面には多少癖があります。
とはいえ使いにくいというほどでもなく、逆に複式簿記は全く分からないという人にも状況別に分類された勘定科目の選択は使いやすいと思います。
よくわからないけどわからないままに決算が完了させたい、というのであればfreeeのほうが優秀だと言えるでしょう。
ただ、使い方が簡単であるがゆえにfreeeに慣れてしまうと他のサービスに切り替えるのはちょっと大変。
複式簿記を理解している人員が何度も入れ替わる可能性が大いにありうる大きな会社であればMFクラウド会計を選択しておいた方が無難かと思います。

サポート面から比較する

使い方がわからなかったときなど、よくある質問集などヘルプ画面だけでなく、オペレータに直接問い合わせることができるかどうかも重要な判断材料となりますよね。

MFクラウド freee
チャット 10:30~17:00 10~12時・13~18時
メール
電話 10:30~17:00 10~12時・13~18時

※両者とも、経理に関するサポートは行っておらず、いずれもクラウド会計サービスの使い方についての問い合わせにのみ対応しています。

サポート面で見てみると、電話・チャットともに対応時間はfreeeのほうが対応時間が30分長いという結果になっています。
freeeはサポート時間=一般的な企業の定時でお昼休みもあるのでこの時間が該当しない企業にはちょっと使いづらいという一面もあるでしょう。
ではMFクラウド会計はといっても、18時にはサポートが終了してしまいますからそんなに変わらないですね。

チャットで比較する

使い勝手を確認するために、実際チャットを利用してみました。

MFクラウド freee
開始前の待ち時間表示 ×
待ち時間 3分くらい 15分くらい
回答の内容 メールっぽい長文。入力待ち時間が長い。 チャット形式。丁寧で一文ずつの回答は早い。
添付ファイル
通話記録の保存 メール メール
回答者の名前 コードネーム? 苗字

※その時々によって待ち時間等は異なります。

待ち時間が短かったのはMFクラウド

開始までの待ち時間が短かったのはMFクラウドです。
特にfreeeは7分位の待ち時間、との表示がありましたが実際は15分ほど待ちました。
たまたまかもしれませんが、急いでいるときのこの誤差はつらいですね。

親切に対応してくれたのはfreee

肝心の回答の内容ですが、MFクラウド会計は事前に内容をある程度送信しているので挨拶もそこそこに本題スタートでした。
特に難しい内容を質問したつもりはありませんでしたが、回答が長文であるが故か返信までには時間がかかりました。
「回答を入力しています…」の表示が何度も出ては消えするのに一向に回答されない状態は短気な人にはやきもきすると思います。
freeeはチャット形式の返信で、早々に挨拶をしてくれるなど丁寧な対応でした。
両者とも質問開始から終了までにかかる時間は同じくらいでしたが、短い文でもすぐに回答してくれるのでこちらの方が安心感があります。
オペレーターの名前がMFクラウド会計はコードネームのようなアルファベットと数字の組み合わせなのに対し、freeeでは漢字表記の苗字だったのも人間を相手にしている気分になりやすく、こういう面でもより安心感を感じることができました。

チャット機能が使いやすかったのはfreee

また、両者とも添付ファイルを送信することができるのですが、入力画面の右端にアイコンで表示されるfreeeに対し、MFクラウドはオプション→別ウィンドウから選択する必要があるので、添付ファイルを送信することができると知らなくては利用するのに戸惑うでしょう。

メールで比較する

メールでの対応について各々問い合わせてみました。

MFクラウド会計

・17時までの質問に同営業日内(19時くらいまでに)回答
・17時以降の質問は翌営業日内(17時くらいまでに)に回答

※混雑状況により異なるが、おおむね午前中には回答している状況(2016/10現在)

freee

・3営業日以内に回答
・メール問い合わせの下部にある「お急ぎ」を選択すれば翌営業日までに回答

※お急ぎは有料プランのみ対応

メールでの返答はMFクラウド会計のほうが早いかな、という印象でしたがいずれにせよ休日を挟んでしまうとサポートを行ってくれませんので、営業日には注意が必要です。

それぞれのプランを比較する

MFクラウド会計、freeeともにすべての機能を使えるプランと機能制限のあるプランが用意されています。
主に制限されるのはMFクラウド会計ではストレージの量や登録可能な部門数、電子証明書連携ソフトの利用などです。
小規模な会社であればライトプランでも大丈夫かもしれませんが、より大きな企業でればやはりストレージのことだけを考えてもベーシックプランを利用する必要があるでしょう。
もちろん、途中からのプラン変更はいつでも可能なのでどれくらいストレージが必要かわからないのであればとりあえずライトプランにしておいて途中でベーシックプランに変更するのが賢いやり方です。
プランが確定できるのであれば、年額会員になった1月分お得になるので、ぜひこちらも活用したいですね。

freeeでは電話サポートの不可、登録可能な部門数、電子証明書連携ソフトの利用などが制限されます。
チャットとメールでのサポートは行ってくれるので、電話は使わないというのであればサポート面は問題ないでしょう。

料金で比較する

MFクラウド会計 freee
ライトプラン ベーシックプラン ライト ビジネス
月額 1980 2980 1980 3980
年額 21780 32780 23760 47760

継続して利用するのであればMFクラウド会計の年額を選択するのが最も安くなります。
また、ベーシック・ビジネスプランを比較してみると年間で15000円近く金額が変わってくるのでより安価で納めたいというのであればMFクラウド会計を選択したほうがよさそうです。

トータルでどっちがいいか比較する

企業によって使いたい機能はさまざまでしょうから一概には言えませんが、考えうる限りのパターンでオススメのサービスを選んでみます。

パターン1:事務処理をまとめたい

この場合のおすすめはfreeeです。
請求書や見積書など様々な事務処理を一括で行うことができます。
対して、MFクラウドは請求書の作成には「MFクラウド請求書」というサービスを利用する必要があります。
このサービスは月額無料や月額500円で使える格安のプランもありますが、取引先登録数が少ない、サポートがないなどオススメできるプランだとは言えません。
ではもう一つ上のプラン、と考えると月額2980円といきなり高額です。
もちろん、オプションで請求書送付を代行してくれるなどありがたいサービスは整っていますが、単純に事務処理を1つのサービスにまとめたいという観点から見るとオーバースペックです。

パターン2:簿記はわからないが、今後のためにも学んでおきたい

この場合のおすすめはMFクラウド会計です。
とにかくfreeeは何もわからない人にも使いやすいサービスですが、複式簿記ならではの使いやすさはありません。
今後のキャリアアップを図るのであればMFクラウド会計を使いながら複式簿記を勉強していったほうがいいでしょう。

パターン3:税理士・会計士を利用する

この場合のおすすめはMFクラウド会計です。
freeeの独特な画面は会計のプロの目には異質に映るようで、対応してくれる専門家が少ないという状況にあるようです。
とはいえ、最近では徐々にfreee対応の税理士・会計士も増えてきました。
対応してくれるクラウド会計はどちらなのか、確認してからの契約をお忘れなく!

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